ジャーナルクラブ

お題となったのは、 Comparative mapping of higher visual areas in monkeys and humans. Orban, Van Essen, Vanduffel, TICS, 8(7):315- (2004)。ディスカッションのレベル高し。口はさめない。しかし、結局のところ、サルと人間の脳の共通点をfMRIの結果のみから見出そうとしてもツラいということか。そもそもsurface-based registration でどの程度個人差の問題が解決できるのかがわからない。まずはヒストロジーで比較すればよさそうなものだが、V1からして人間とサルでは大きく違うとのこと。ブロードマンエリアだってぜんぜん当てにならない。電気生理のデータとあわせられることがサルのfMRIの利点のはずなのだが、1ボクセルに100万個のニューロンだって。また、functional activationでの比較は、同じ課題で活動の見られる部位同士が同じ機能をもつという保障がどこにもない。八方ふさがり。ただ、まだデータが少なすぎるというのも確か。fMRIがほんとうに確かな方法ならば、サルの脳のトポロジーの理解はかなり進むんじゃないだろうか。で、もしそれが確かなものならばとても面白いじゃないかと思う。でも、個人的にはトポロジーの一般化にこだわりすぎるのは危険だと思うし、限界があると思う。トポロジーだけがシステムニューロサイエンスの目標ではない、ということを、来週のラボミーティングで主張してみたい。アドリブでディスカッションするにはまだ英語、ニューロサイエンス両面でのフレーズの蓄積が足りない。が、自分の土俵なら、なんとかなるはず。