Japan Festivalの武満徹企画をみてきた。香津美さんは13歳のときから長いことファンだったが、このごろの演奏はほとんど聞いてない。ヤヒロトモヒロもcobaも大好きなミュージシャンだが、同じく最近はご無沙汰していた。鈴木大介さんは初めて聞く名前だった。ギター二人とアコーディオンとパーカッションで武満徹ってどんな感じになるのか想像もつかなかった。武満徹の曲も、ノベンバーステップスの尺八の音と深刻な感じの響きしか記憶にない。ラリーアップルバウムのおかげでこのイベントのことを知ったのと、あと、ラジオ局からメールが来て20ドルも安く切符を買うことができたので、家族4人でケネディーセンターに行ってきた。子供がおなかがすいたというのでマクドナルドに寄っていったらギリギリの時間になってしまい、急いで行った。席に着いた瞬間に照明が落ち、久しぶりにみる人たちが入場した。ヤヒロトモヒロはずいぶん貫禄がついた。
演奏はすばらしかった。どの曲も軽やかで優しい感じの曲で、プログラムみるまで全曲武満徹の曲だとは信じられなかった。香津美さんもよかったが、鈴木大介さんのギターの音もとてもきれいでよかった。最初押さえ気味だったアコーディオンが3曲目から全開。cobaアコーディオンはちょっとこの世のものとは思えないような美しい音だった。自然に涙が出た。それからはもうただただ音楽の美しさに身を任せる感じ。休憩を挟んで後半に入っても、その感じはまたやってきて、ますます涙が出た。子供が横にいたのだがもう関係なかった。こういうのをカタルシスっていうんだろうな。中年の日常の汚れのようなものがそのときは消えてなくなったような気がした。ヤヒロトモヒロも見せ場をつくり、それに観客が見事に反応した。大受け。1000人くらいの観客と演奏家に間違いなく一体感があった。演奏が終わるとお客さんは総立ち。スタンディングオベーション。それを思い出すだけでもじーんとくる。音楽を聴いてこんなに感動したことはない。ほんとうに純粋な音楽の美しさと喜びがダイレクトに伝わってきた。こういう体験をさせてもらっただけでもアメリカに来た甲斐はあったかな。あ、最後のほうで鈴木さんのギターがハウってあっと思ったのだが、次の瞬間にアコーディオンのものすごい高い音でハウリングにアンサンブルを加えちゃってまたそれがよかった。
最高の気分で外に出ると、同じ職場のイタリア人がI like Japan!! と言ってるのがみえたのでちょっと挨拶した。子供にはちょっと夜遅かったけど、気分がいいのでU streetに行ってオーガニックのイタリア料理屋に入った。イタリアビールとピザ、これも最高だった。
今夜のバンドはぜひレコードを出してほしいと思う。もし今日の演奏を録音していたらそのまま出してほしい。cobaはすごい。cobaってどういう人なの?音楽を聞けばわかるような気がしたけど、ネットで検索してみると、ブログがある。どんどん読んでいくと、なるほど武満さんと個人的な交流があって、武満さんのことをすごくお慕いされているわけですね。このイベントも一回限りではないわけですね。なるほど、なるほど。そういった背景があってのあの演奏なのですね。ほんとうにいいものを聴かせてもらった。しかし、こういう演奏を両親と一緒に経験することができたうちの娘は本当に幸運で、親がいうのもおかしいけど、うらやましく思う。

イタリアビールはbirra menabreaというやつ。うまかった。