NetflixというDVD宅配システムを試してみた。これはすごい。ネットで注文すると1日で届いた。枚数制限なしで1ヶ月15ドルくらい。郵送料無料。しかも新作でもほとんど待たされない。職場の人があれはいいというが、確かにいい。アメリカにもツタヤのような大手レンタル屋があるが、Netflixのおかげで大苦戦らしい。これも時代の流れなんだろうな。宅配のみならず、ネットで作品を選ぶことができるのも大きな利点。店頭で観たい作品を探すのは大変である。英語のせいもあるけど、日本でもそうだった。店頭ではどうしてもジャンル分けして整理しなくてはならないのだろうが、たとえば、ヒーローもの、戦争もの、恋愛もの、ドラマ、などという分類があったとして、全てに当てはまる映画は多いだろう。これに加えて俳優別、監督別とかで並べたりするからどんどんわかりにくくなる。検索できると本当に楽。

初めて借りたのはジャームッシュのBroken Flowersとこないだアカデミー賞をとったCrashという映画。どちらもとてもよかった。
Broken Flowersは初老のモテ男ビルマレイのもとに、あなたには19歳になる息子がいるという無記名の手紙が届き、母親の可能性がある4人の女性を訪ねて歩くという映画。突然終わってしまい、なぞが残る。観終わったときは正直がっかりしたが、今はよかったと思う。なんというか、観る側の自由度が高い映画という感じ。ほんとうに普通の景色ばかりで、劇的なことはほとんど起こらないのだが、なんだか自分で旅をしたような感覚が残る。突然訪れるビルへの4人の女性の反応がそれぞれかなり異なるのがとても面白い。20年前この二人がどんな関係だったのだろうかとか、想像が膨らむ。知らない人なのに、「あの人は今」という興味を満たしてくれるような映画。音楽がまたよい。さすがジャームッシュ。会話は必要最低限で、音楽に語らせている感じ。この映画はアメリカよりも日本でのほうが受けるんじゃないかと思う。 
Crashは人種間の軋轢がテーマ。何件かの自動車事故または自動車に絡んだ事件をモチーフに、アメリカ生活の緊張感というか、アメリカ人のイライラした感じが実によく描かれていると思った。僕も軽い自動車事故を経験したことがある。そのときに、これまででもっともむき出しのアメリカ人の本性を観察することができた(若い女(酔っ払い)にGo back to your fuckin' countryなんて言われたのだ)。その感じを思い出させてくれた。快適な映画ではないが、アメリカの現実はけして快適ではないので。マットディロンがすごくよかった。